脊髄刺激療法(SCS):ニューロモデュレーションセンター:たかの橋中央病院
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脊髄刺激療法(SCS)

適応となる疾患

『痛み』は様々な原因によって起こります。原因となる疾患を治療して痛みを和らげたり、鎮痛剤や湿布などで対症療法をすることが一般的ですが、一部の痛みはこれらの治療に抵抗性です。他の治療で治りにくい痛みが慢性化した場合、特に神経の障害によっておこる痛み(神経障害性疼痛)は機能的神経外科手術の適応となります。
『痛み』は発生する原因により、主に3種類に分類することができます。

  • 侵害受容性疼痛:末梢組織の障害が、正常の知覚神経経路を伝達することで感じる痛みです。怪我をした傷口の痛みなどがこれに相当します。
  • 神経障害性疼痛:知覚神経伝達経路が障害されることにより生じる痛みです。知覚神経経路が障害されると知覚がなくなる、もしくは減退することが多いのですが、一部の症例では逆に耐え難い痛みを生じます。原因は知覚神経経路の再構築、知覚神経の過剰興奮などと言われていますが、明確には分かっていません。
  • 心因性疼痛:1、2とは異なり、身体的ではなく精神的な要因により生じる痛みです。

これらのうち、電気刺激療法の適応は2の神経障害性疼痛です。『痛み』は末梢神経→脊髄→視床→大脳皮質の経路で伝達することが知られていますので、これらの神経経路のどこかが障害されれば神経因性疼痛が生じることになりますが、具体的には以下の病状が脊髄刺激療法の適応となります。

  • 脳卒中により中枢神経が障害され感覚障害・痛みが残存する場合(中枢性疼痛)
  • 糖尿病に合併する末梢神経障害による痛み(糖尿病性ニューロパチー)
  • 帯状疱疹治療後も継続する痛み(ヘルペス後神経痛)
  • 複合性局所性疼痛症候群Complex Regional Pain Syndrome(CRPS) に伴う痛み
  • パーキンソン病の腰痛
  • 脊柱管狭窄症の術後に残る腰痛

脊髄刺激療法の効果

この脊髄刺激療法は痛みの原因を除去する治療ではないので、完全に痛みがなくなるというより、痛みを和らげることを目的とした治療法です。この治療により半数以上の患者さんで痛みが50%以上和らぎ、薬の量や種類を少なくすることか可能となり、そのため日常生活が向上します。  脳卒中で3〜20%の方が、糖尿病では2〜7.5%の方が何らかの形で『痛み』を自覚していることが知られています。電気刺激療法では、神経への損傷を最小限に抑えつつ試験刺激を行えることを考慮すると、少なくとも試験刺激だけでも行う価値のあるケースは案外多いものと思われます。

ただし、この脊髄刺激療法はすべての痛みに有効なわけでなく、効果が期待できる痛みは限られています。また、効果が期待できる痛みであっても長い間経過している痛みに対しては効果が薄れてしまいます。ストレスや社会的背景など、心理や社会的な要因から生じる痛みには、脊髄刺激療法は効きません。

脊髄刺激療法の副作用

硬膜外腔にリードを植込むことによるリスクとして、出血、感染、神経障害、硬膜外腔の出血による神経損傷、硬膜外腔の感染、脊髄性頭痛などが稀ながら起こりえます。稀ではあれますが機械的な不具合としてはリードの位置や接続部の移動(ズレ)、リードの断線などがあります。

  • 植え込まれた機器の破損…刺激電極、刺激発生器の故障(2〜12%)
  • 手術手技による合併症…
  • 脊髄硬膜外腔出血(15%)
  • 髄液漏(10%)
  • 脊髄損傷(2%)
  • 手術後疼痛、不快感(3%)
  • 知覚障害(2%)
  • 運動麻痺(1%)
  • 皮下血腫(1%)
  • 感染症(2〜3%)
  • けいれん発作をはじめ一過性の神経症状出現(2%)
  • 皮膚びらんによる器械露出(3%)

脊髄刺激療法の手順

脊髄刺激療法が、ご自身の痛みに合っているかどうかを判断することは、非常に難しいことです。脊髄刺激療法は、ご自分の症状や痛みの種類などにより、効果が大きく異なります。背中にリードと呼ばれる導線だけを挿入して、効果を体験してから、機器を植込むかどうかを検討することが可能です。

穿刺部位の決定
ベッドにうつ伏せに寝て頂き、レントゲンで脊椎の位置を確認し、電極を挿入するのに最適な箇所を決定します。
電極の挿入
電極を挿入する箇所の周辺に局所麻酔をし、皮膚を切開します。レントゲンで確認しながら脊髄硬膜外腔に電極を挿入します。電極の位置を変えつつ脊髄に電気で刺激を加えていきながら、実際の電気刺激が"痛み"におよぼす影響を確認していきます。
刺激の調整
もっとも除痛が得やすい刺激部位が決定できたら、刺激の微調整を行い、電極を固定します。
試験刺激
電極に繋げたリード線を体外に露出したままで一度手術を終了し、病室に帰ります。数日から1週間程度試験的に刺激を行い、効果に満足されれば刺激装置の挿入へ進みます。期待通りの効果が出なかった場合は、局所麻酔下で電極を抜去します。
パルスジェネレーター(刺激発生器)の植込
パルスジェネレーターを全身麻酔下で前胸部または側腹部に植え込み、皮下で脊髄刺激電極のリード線と直結します。
刺激の調整
術後は患者さんご自身で、刺激のオン・オフ、強度の調整などして頂きます。

脊髄刺激療法と日常生活

機器を植込むことによって家事や身の回りの世話などの日常生活に支障をきたすことはありません。手術後,2〜3ヶ月程度で術後状態が安定すると、軽い運動から活動を再開することができます。激しい運動は避けてください。

植込まれた機器は、通常,服の上からは分かりません。皮下の小さな瘤のように感じられることがあります。携帯型の操作機器で刺激感を調節することができます。刺激装置は精密医療機器ですので、強い磁場は厳禁です。

定期的な診察

 脊髄刺激療法は、時間とともに慣れてくることによって強い刺激感が必要になることがあります。また、一部の痛みがやわらぐことによって他の部分が痛く感じることもあります。病状の進行や薬の変更により、刺激感が十分でなくなることもあります。刺激感を最適に保つために定期的な診察を受けていただきます。
電池の寿命がありますので。数年で刺激装置の交換が必要です。電極の部分は入れ替える必要はありません。

植込み機器の抜去

脊髄刺激療法は、必ずしもすべての人が一生受け続けるというわけではありません。病状が進行して、他の治療に変更することや、痛みが改善して不要になることもあります。脊髄刺激療法は神経を傷つけないので、必要でなくなった場合は機器を抜去することができます。
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